燃える雑草魂:伏木海陸・東京ドームへ/中 中堅層 /富山
◇負けない闘志、日本一
今回の東京ドームで「リベンジ」を誓う男たちがいる。1人は、7月の北信越地区予選の予選リーグで左足首を剥離(はくり)骨折、けがを押して決勝トーナメントに臨んだ覚幸茂雄(26)。その背中を押しているのは「結果を出したい」との一念だ。
石川県小松市出身。高校時代、思うように活躍できず、伏木海陸で入部時も「1~2年でやめるつもりだった」。しかし、北陸銀行(当時)に1回も勝てず「結果を出してからやめよう」と誓って今年12年目を迎えた。
前回大会では1人で3安打を放ったが、実は「風邪でふらふらだった」という。この後スランプに陥り、若手に「レギュラーをとられるのでは」という危機感を抱いたこともある。しかし「自分なりにできることをやった」結果、成績が付いてくるようになった。
「結果を出す」ことは、チームのプラスになる。今年の予選の決勝では優勝のうれしさの半面、活躍できなかったという悔しさも残った。そのけがも順調に回復。東京ドームでその分貢献する、と心に決めている。
続いて中島大悟(30)。枯れるまで声を出し、チームの雰囲気を盛り上げるムードメーカーだ。石川県の名門、星稜高出身で、ヤンキースの松井秀喜は2年先輩。高校野球の指導者を目指し金沢大に進学したが、卒業後も現役で野球を続けることになった。
前回大会は8番左翼手で出場したが無安打。「あの時は橋本(投手)、坂林(捕手)に連れて行ってもらったようなもの。出られたことに満足してしまった」。高校3年の春と夏に甲子園に出場したが、その時と同じような思いだったという。
今年8年目。6月にじん帯を切断し、北信越予選も痛み止め注射を打って出場、九回に同点の足がかりとなる二塁打を放った。優勝の瞬間、野球生活で初めて泣いた。「ようやく役に立てたかな」という気持ちがハートを熱くした。今年のドームでは「どんな試合でもいいから勝ちたい」と一層闘志を燃やしている。
もう1人は、昨年の日本選手権2次予選で最後の打者となった近藤哲洋(30)。「大切な時に役に立てなかった。打てると思って使ってくれた監督に申し訳ない」。しかしこれがいい励みになり、今年は「腰のひもを締め直してシーズンを迎えられた」という。
今年7年目。10打席無安打という時期も経験し、いろんなプレッシャーもある。それらを「自分の試練」として、勝ちに貢献しようと臨んだのが今年の予選。決勝での同点の突破口は、近藤の振り逃げ出塁だった。
「東京ドームでは、負けないという闘志だけは日本一。花火を爆発させますよ」と、目をギラギラと輝かせている。【青山郁子】=敬称略
8月23日朝刊
(毎日新聞)より引用
風邪でふらふらにもかかわらず3安打ですか。すごいです。おたふく風邪が大人になってからくると大変な・・・
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